引き続き 藤田晃之 著『キャリア教育 フォー ビギナーズ』を読んでの学び #06
#04で取り上げた
「キャリア・スタート・ウィーク」から始まり、定着していった
中学校での職場体験活動についての話
この本で挙げられている、職場体験活動で散見される心配なことがらをピックアップしていく。
職場体験活動が形骸化してませんか?
大多数の中学校で、2年生の時に職場体験活動を行うことが、恒例行事化している。
そして、多くの場合「例年を踏襲」という形で、行われている。
つまり、例年通りのスケジュールにそって、淡々とタスクをこなしているだけの状態になっていないだろうか? という心配がある。
「仕事を体験させること」だけが、目的となっていないだろうか?
生徒が「何を学ぶため」に、職場体験をしているのかが、十分に考えられているのだろうか?
そう感じられてしまう、象徴的なものが
職場体験の事前学習として行われる、ビジネスマナー研修。
例えば「挨拶はしっかり」とか「返事は大きな声で」とか「遅刻はしないように」とか
これらは、もちろん大切なことなのだか
ことさら職場体験で身に付けなければいけないものだろうか?
もっと言うと
「職場体験でないと身につけれられないもの」なのだろうか?
「挨拶はしっかり」「返事は大きな声で」「遅刻はしないように」
普段の学校生活の中でも、大切なことなのではないだろうか?
普段の学校生活の中でも、身に付けられることではないだろうか?
わざわざ、企業に協力をしてもらって、
貴重な時間や労力をかけてもらって身に付けさせたいのが
「挨拶はしっかり」「返事は大きな声で」「遅刻はしないように」なのだろうか?
繰り返して言うが、これらは、もちろん大切なことであることは間違いない。
だけど、それを身につけることが職場体験活動の目的なのだろうか?
企業からの声
平成25年に公表された
『2012年「企業による教育支援活動」に関する調査集計結果』に掲載された企業の声
- インターンシップを受け入れているが学校・生徒共に熱意が感じられない(建設業・サービス業)
- 中学生の現場作業等については、安全衛生面であまり賛成できない(製造業)
- 学校や生徒が職場体験を望んでいるのか、何を学んでもらいたいのか、何を学びたいのか、教育の意図がはっきりしないと企業の対応も難しい(建設業)
- 職場体験が勤労観、職場観の育成に一層役立つよう、フォローアップ学習を行ってほしい(製造業)
- 何の目的で企業に訪問するのかについて、学校側が生徒にしっかりと考えされるようにしてほしい。事前に職場体験に対する生徒達への動機づけができているとより効果的になる。体験前の学校側の準備教育をしっかり行ってもらいたい。(黒鯉業、卸売業、製造業、建設業、サービス業、その他)
- 若年の就職状況が厳しくなっており、学生に進路選択の知識を与えることは、企業や社会の責任ではないかと思う。(その他)
- 高校生の職場体験では、多くの費用がかかっているが、全て自社で負担している。より良い環境を作るためにも、関係機関で費用を補助してほしい。(建設業)
- キャリア教育を中、高、大、企業が連携して行うことで真の目的が達成されると思う。一層の連携強化が必要。(製造業)
企業としては、活動の意義を理解・賛同して協力をしているが
受け入れてもらう側の学校・生徒・関連機関の方は、十分に準備をして、理解して活動をしているのだろうか? と、疑問を感じてしまうようなコメントである。
キャリア教育コーディネーターの関わりどころ
以上が、この本に書かれていることだが
この様に、よくあるパターンの職場体験活動には改善すべきポイントがいくつもあるようだ。
では、誰がその改善を行っていくのか?
1つの解決方法が、職場体験活動にキャリア教育コーディネーターが関わることだ。
学校側の目指すものと、企業の思いをつなぐ役目としての仲介役
まさに、キャリア教育コーディネーターが、その価値を発揮する場面である。
…と、言うことに この本を読んで気づいたので
早速、地元の中学校に話に行くことにしよう。
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